ゴミ処理問題の歴史
ゴミ処理問題は今も大きな問題として取り上げられていますが、その一方で実はかなり昔からこうした問題は取りざたされ続けている実情があります。
その始まりはなんと江戸時代の始まり、1600年ぐらいからと言われています。
それまでの江戸の地域は首都ではなく、徳川家康が江戸で開拓を始めたのは1590年のことです。
湿地帯であり、地盤も弱く、それでいて海や川が入り組んでいた事情もあって多くの人が住める状況ではありませんでした。
これをわずか10年で開拓していき、結果的に多くの人が住む環境を作り出した。
こうなると問題になるのがゴミの問題です。
当初、江戸で出たゴミは江戸に流れている川や空き地などに捨てられていました。
当時は生ゴミがほとんどのため、至る所に生ゴミが捨てられ、そこにハエなどが飛び交うような環境にあったため、決して衛生的にいい状況とは言えませんでした。
そこで幕府がとった作戦はまず川などにあるゴミを拾うこと、下水にゴミは投げ込まないよう禁じること、そして幕府が指定するゴミの埋立地を確保することでした。
この埋立地が確保されるのは1655年、永代島と呼ばれる島への投棄を命じることになってからです。
永代島は現在の江東区周辺にある
永代島は現在の江東区周辺にあり、隅田川の中洲に今も存在しています。
永代島が由来となった橋に永代橋があるなど、多くの人の記憶に残されており、ここに江戸のゴミが集められることになります。
ただこうなると、誰がゴミをそこまで運ぶのかという問題が出てきます。
そこで江戸幕府はゴミの運搬業者を指定して、お金を出して永代島まで運んでもらう制度を導入します。
今のゴミ処理制度の先駆けとなっており、ゴミ処理の歴史はここから始まったといっても過言ではありません。
江戸幕府が行ったことは単にゴミ収集だけではありません。
多くのところから集められた廃棄物の山から再利用できるものを取り出して、価値があるものを集めるということをしていました。
現在は3R、リユース、リデュースそしてリサイクルの活動が当たり前のように行われていますが、その当時もこのようなことが行われていたことになります。
こうしたことを通じて多くなったごみを処理するだけでなく、その中で価値のあるものは取り出して、残りは自然に戻すような形にしています。
産業の発展に伴う事業ゴミの問題
こうして江戸時代はなんとか対応していくことができ、さほど人口が一気に増えたわけでもないため、ゴミの問題はそこまで問題にはなりませんでした。
ただ、明治時代に入ってからが別の問題が浮上します。
それが産業の発展に伴う事業ゴミの問題です。
家庭ゴミに関しては今までのやり方でいいにしても、事業のゴミはこれまでにはなかった問題です。
産業の発展に伴い、その産業に関する廃棄物や経済発展に伴う家庭ごみの増加もあり、明治時代以降は再びゴミ処理問題に悩まされることになります。
時の明治政府はこうした動きを受けて、積極的にごみ処理を行い、それを政策として取り上げていくことを決めます。
その背景には欧米列強に少しでも追いつきたい気持ちもあったようです。
また、街中に散乱していることで伝染病の問題なども生じることから衛生面で何とかしなければならないという危惧もあります。
そして、ここで廃棄物処理の方法が大きく変わります。
それまで埋め立てで処理していたものを焼却することで何とかしようとします。
そして明治時代には汚物掃除法と呼ばれる法律が生まれます。
汚物掃除法と呼ばれる法律
汚物掃除法が画期的だったのはこれまで、ゴミ収集は民間がやっていたものを市町村が行うものと定められた点です。
これに伴い、現在見られる市町村がゴミ処理を行う状況が生まれます。
とはいえ、当初はいきなり市町村が担当するのではなく、民間に委託する形で行われます。
ちなみにこの当時から分別して収集する動きが見られています。
この汚物掃除法は戦後まで存在しており、数十年間にわたって日本のゴミ処理に関するルールを守ってきたことになります。
一気にゴミ処理問題が白熱するのが戦後になってからです。
人口増加がこれまでの比ではないことや生ゴミばかりだったものが紙や金属など様々なものが入り混じるようになり、分別をしなければならない状況に追い込まれます。
そうなると産業廃棄物の問題も浮上し、焼却施設が足りないことや焼却施設から出る煙が有害ではないかという公害問題も発生し、多くの問題を一気に抱え、なんとか対応しなければならない時代を迎えます。
リサイクル関連法や分別の徹底など様々な形でゴミ処理問題は提起され、その都度解決してきています。
しかし、現在も進行中であり、最終処分場が不足している状況は変わりません。
それ自体は減りつつあるものの、それでも最終的それを埋め立てる場所が東京の海にはあとわずかしかないのも知っておくべき事実です。
新たな埋立地を探すのか、それとも将来的に影響を残さない場所を見つけるか、大きな問題はまだ続きます。
参考サイト
1.井草実業
最終更新日 2025年4月25日